ホールドダウンとは、主に電子機器や回路基板において使用されるコネクタ端子部品の一種です。各メーカーによって呼び方が異なる場合もありますが、求められる機能や加工方法は大きく変わりません。
近年はスマホをはじめとした電子機器の小型化、軽量化が進み、基板やコネクタにも同様の流れがきています。そしてその流れは、ホールドダウンにも通じるため、ホールドダウンの形状がより複雑になり、求められる機能も高くなっています。
今回は、ホールドダウンの概要から用途、特徴、ホールドダウンを加工する際のポイント、そして当サイトを運営する株式会社ナカトガワ技研だからこそ可能なホールドダウンの順送プレス加工・金型設計ポイント、さらに当社で実施したホールドダウンの順送プレス加工事例まで、まとめてご紹介いたします。
ホールドダウンとは?
ホールドダウンとは、主に電子機器や回路基板において使用されるコネクタ端子部品の一種です。ホールドダウンの用途としては、スマホや電子機器のプリント基板(PCB)上のコネクタ固定や、モジュール固定・保持するために使用されます。
ホールドダウンは通常、金属や強化プラスチックで作られ、基板にしっかりと固定されるように形状設計されています。また使用する用途によって求められる機能が変わりますが、コネクタや基板上の部品が物理的に安定する「安定性」、振動や衝撃に対して強い「耐振動性」、電源端子も兼ねて電気を通す「導電性」、などが主に機能としてホールドダウンには求められます。
当社が過去に製作してきた実績としては、リン青銅(C5210)製で板厚0.08~0.15mm程度のホールドダウンが多くなっています。近年はスマホをはじめとした電子機器の小型化、軽量化が進み、基板やコネクタにも同様の流れがきています。そしてその流れは、ホールドダウンにも通じるため、ホールドダウンの形状がより複雑になり、求められる機能も高くなっています。
シェルとホールドダウンの違いとは?
ホールドダウンと呼ばれる部品は、各コネクタメーカーや電子機器メーカーによって呼称が異なる場合もございます。おおきく「シェル」と呼ばれるケースと、「ホールドダウン」と呼ばれるケースがあります。シェルに関しては「殻」という意味の通り、根元部分に覆い被さる用途で使用されることが多くなりますが、その際にシールドのほかに固定の役割を担うこともあるため、ホールドダウンの一種とみなされるケースもあります。
部品加工メーカーにホールドダウンやシェルとそのまま単語だけ伝えると、認識の齟齬が発生するケースもありますので、注意が必要です。
ホールドダウンのプレス加工におけるポイント
ホールドダウンのプレス加工におけるポイントは下記の通りです。
- 狭ピッチの中での多数回の微細曲げ加工
- 板厚0.08mmに対する0.01mmの寸法公差
- spm300以上の高速プレス加工による量産性
- 試作段階でのホールドダウンのプレス加工
まずホールドダウンのプレス加工では、狭いピッチ内で多数回の微細曲げ加工が必要となり、これにより複雑な形状を高精度で実現できます。この狭ピッチ内の微細曲げ加工を行うためには、順送プレス金型のレイアウト設計力と、微細曲げ金型部品の製作を行う技術力が必要となります。
また板厚0.08mmの薄板に対して0.01mmという極めて厳しい寸法公差を実現することは、ホールドダウンのプレス加工の大きな課題です。このような薄板に対する微細曲げ加工になると、曲げ部品の強度が非常に低く、破損しやすくなってしまいます。この高精度を保つためには、プレス加工機や金型の精度はもちろんのこと、加工する材質への理解も必要となります。
そしてこのようなホールドダウンの量産プレス加工を実現するためには、spm(ストローク毎分)300以上の高速プレス加工が不可欠です。この高速加工により、短時間で大量の部品を製造することが可能となり、コスト削減と納期短縮が実現できます。しかしそのためには、高速プレス加工に対応するための高精度かつ耐久性の高い金型製作が必要となります。
さらにホールドダウンの試作についても、このような形状の場合は単発プレスや他の工法での製作が困難になり、試作段階においても順送プレス加工が必要となります。しかし順送プレス金型は費用が高く納期も長くなる傾向にあり、ホールドダウンの試作順送プレス加工に対応できるメーカーは多くありません。
ナカトガワ技研だからこそ実現できるホールドダウンの順送プレス加工
当サイトを運営する株式会社ナカトガワ技研では、大手コネクタメーカー様をはじめとした、様々なお客様よりホールドダウンの順送プレス加工のご相談をいただいております。当社だからこそのホールドダウンのプレス加工の特徴は下記の通りです。
- ホールドダウンの順送プレス加工・金型設計製作に関する実績
- 0.01mmの公差に抑える高精度な試作順送プレス加工
- 高精度なプレス加工を実現するための順送プレス金型製作の技術力
- 2条取りホールドダウン等の量産順送プレス金型の製作
- 試作順送プレス金型によるホールドダウン試作の短納期・高精度・低コスト対応
当社は、ホールドダウンの順送プレス加工および金型設計製作において豊富な実績を誇ります。累計3000以上の順送プレス金型を製作してきて培った経験とノウハウにより、複雑な形状のホールドダウンや、狭ピッチで多数回曲げ加工が必要なホールドダウンであっても、高精度で製造することが可能です。
また当社では、ホールドダウンに限らず、板厚0.08mmに対して0.01mmという厳しい寸法公差を実現する高精度な試作順送プレス加工を行っております。ホールドダウンの場合は、狭ピッチで曲げ加工領域も小さくなるため、押さえ代が少なく加工しづらいというケースも多々あります。しかし当社では、押さえ代が少ない場合にも変形が起こらないように、部品形状と曲げ工程に工夫を凝らしています。
薄板プレス加工センターでは、薄板プレス加工を行うための金型を、すべて社内で一貫生産しております。社外に外注してしまうと、どうしても自社では精度を管理しきれません。そのため、品質精度にばらつきが生じてしまいます。また、高精度な金型部品でないと、繰り返しプレス加工をした際に、継続精度が悪化してしまいます。当サイトを運営するナカトガワ技研では、順送プレス金型製造に必要な設備をすべて社内で取り揃えており、品質精度の管理はもちろんのこと、納期面でもお客様に貢献することができます。
そして当社の最も大きな特徴として、量産前の試作段階において順送プレス金型を用いることで、短納期・高精度・低コストでのホールドダウン試作が可能です。また試作段階での高精度なフィードバックにより、量産時の品質を保証します。
当社の試作順送プレス金型の3つの特徴
当社が製造する試作順送プレス金型には、大きく3つの特徴でまとめられます。
量産精度
当社の試作順送プレス金型では、特に順送レイアウトにこだわった設計をしております。そのため、±0.01程の量産順送プレス金型と同等の精度で試作サンプル品の製品精度を出すことができます。
>>試作から量産まで、0.03~1mmの薄板プレス加工に対応いたします。
短納期/低コスト
薄板プレス加工センターでは、試作順送プレス金型において標準化システムを採用しております。こちらの標準ダイセットは、当社独自の特許も取得しており、他社では真似できない短納期と低コストで試作順送プレス金型を提供することができます。
標準ダイセットと当社独自の工程集約パーツ加工を組み合わせることで実現しています。
生産性
当社の試作順送プレス金型は、準量産対応をすることができます。具体的には、300万pinまでのつなぎ量産対応をすることができます。
>>量産プレス金型へのつなぎ対応・更新対応を解決する方法とは?
試作順送プレス金型の製造における2つのポイント
特に当社の試作順送プレス金型のポイントになっている、標準ダイセットと工程集約パーツに関して説明いたします。
標準ダイセットシステム
上写真のように、当社の試作順送プレス金型では、共通ユニットとサブユニット(赤枠)を分割しております。お客様の製品の大きさやピッチ、材幅によってサブユニットの大きさを数種類の中より選択し、サブユニットのみを製作する構造をとっております。またタイプ種類については、レイアウト長毎に7種類を用意して、柔軟な対応ができるようにしております。
工程集約パーツ
例として、量産順送用のレイアウトで工程では7工程となっていた薄板プレス加工品を、工程集約をした抜きパンチを製造することにより、6工程を削減して1工程で済むようにした事例がございます。このように、製作する部品数が大幅に削減し、さらに通常は7回の抜き加工で製造していた製品を1回の抜き加工で加工できるようになるため、どこにも負けない短納期と低コストでの金型提供を実現しております。
>>【技術提案】工程集約パーツによるスリット抜き加工でコストダウン
薄板プレス加工センターの薄板プレス加工の特徴
薄板プレス加工センターを運営する株式会社ナカトガワ技研では、これまでに様々な薄板プレス加工を行ってまいりました。業界としては、電子機器業界から自動車、産業機器向けに、国内外問わず様々な場所で当社製の薄板プレス加工品が使用されています。
板厚は0.05mmまでの薄いコンタクトの製造実績もございます。またピッチに関しても、0.35mmといったマイクロピッチコンタクトも多数製造実績がございます。
形状に関しては、単純な抜き形状から、先端部分を曲げ加工したR接点形状や、芯金が入らないバネ構造、高精度曲げ加工によるBOX・シェル形状のような、様々な形状の薄板プレス加工品を製造してまいりました。
当社では、ロット1万~300万の薄板部品の試作プレス加工から、試作順送金型、量産順送金型まで一貫生産を行っております。特に試作順送プレス金型に関しては、多くのお客様から好評のお声をいただいております。
こちらの動画では、薄板プレス加工センターの順送プレス加工をスケルトンをもとにご紹介しております。
薄板プレス加工センターのホールドダウン 製品事例
続いて、薄板プレス加工センターによる製品事例をご紹介いたします。
2条取りホールドダウン
こちらは、民生用で使用される、リン青銅製(C5191R-1/2H )のホールドダウンです。板厚は0.12mm、ピッチは9mmで、試作順送金型にて製造いたしました。
こちらのホールドダウンは、写真の通り2列各1個取りの2条取りで製作いたしました。また曲げ部の最小公差が±0.015という、加工精度が非常に高い薄板プレス部品でした。
ホールドダウン
こちらは、電子機器業界で使用されるリン青銅(C5210RHQ-H)製のホールドダウンです。板厚は0.08mm、ピッチは3.8mmで、量産順送金型にて製造いたしました。
こちらのホールドダウンは、曲げ加工をする際の押え範囲が少なく、また変形しやすい製品形状でもあります。写真の通りで曲げが非常に微細なため、曲げ部品の強度が非常に低く破損しやすくなっています。さらに、累積した曲げの寸法公差が±0.01と非常に厳しくなっているのも特徴です。
ソケットホールダウン
こちらは、電子機器業界で使用されるリン青銅(C5210R-EH)製のソケットホールドダウンです。板厚は0.08mm、ピッチは2.54mmで、試作順送金型にて製造いたしました。
こちらのホールドダウンは、曲げ加工をする際の押え範囲が少なく、また変形しやすい製品形状でもあります。写真の通りで曲げが非常に微細なため、曲げ部品の強度が非常に低く破損しやすくなっています。さらに、累積した曲げの寸法公差が±0.01と非常に厳しくなっているのも特徴です。
C5210R-H(HP)製 ホールドダウン
こちらは、リン青銅(C5210R-H(HP))製のホールドダウンです。板厚は0.08mm、ピッチは3.8mmで、量産順送金型にて製造いたしました。
こちらのホールドダウンは、当社の中では微細形状に当てはまり、小さい加工域の中に多数の複雑な曲げ加工があり、その公差が0.01mmとなっています。また穴開け部(キャリア部)は最終的にはカットされ、下の曲げ加工部が製品として使用されます。
C5210R製ホールドダウン t0.08mm
こちらは、スマホ向け部品として使用される、リン青銅(C5210R)製のホールドダウンです。板厚は0.08mm、ピッチは3.8mmで、量産順送金型にて製造いたしました。
穴開け部分(キャリア部)は、最終的にカットされ、曲げ加工部分のみが実際には使用されます。こちらのホールドダウンの特徴は、写真でもお分かりいただけるように、ピッチ3.8mmという小さい範囲内で曲げ加工が複雑に多数回行われているという点です。公差は0.01mmという高精度な部品でしたが、高精度な金型部品によって製造された量産順送プレス金型にて製造しております。
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薄板プレス加工センターを運営する株式会社ナカトガワ技研は、宮城県石巻市で順送プレス金型の製造をつづけて35年、「知る人ぞ知る」東北最大手の試作順送金型メーカーです。
当社では、金型製造やプレス加工に必要な設備が全て整った設備体制により、金型の設計製造から検査、プレス加工まで一貫して行うことができます。
またナカトガワ技研の加工技術は、米粒ほどの大きさにも加工することができるのは当たり前。そのような高精度加工を安定的に行う当社の技術力こそが、高精度金型部品加工を実現するためのポイントです。
さらに当社では、累計3,000型の順送金型の製作実績があり、今までの試作品をスケルトンとして全てサンプル保存しております。この蓄積されたサンプルにより構築された当社のアイデア力で、お客様のご要望に応えて様々な金型形状を生み出します。
ナカトガワ技研では、板厚0.03~1.0mmの薄板順送プレス加工を得意としております。特に試作~中量産用の試作金型の設計・製造に強みがある当社は、試作・中量産のプレス加工にも対応しております。この領域のプレス加工では、当社は負けない自信があります。
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