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プレス加工における打痕の原因と対策とは?

プレス加工における打痕の原因と対策とは? 

プレス加工における打痕は、製品の品質に大きく影響を与える重要な問題です。そのため、打痕の原因を正確に見極め、最適な対策を講じることで、製品の品質を向上させる必要があります。

本コラムでは、打痕の原因や対策を一覧でご紹介し、見極め方や検査方法、打痕の許容範囲を決める基準、そして実際に当社で製作している薄板プレス加工品の事例について紹介します。

 

 

 

プレス加工における打痕とは?

プレス加工における「打痕」とは、金属などの加工品の表面に生じる傷やへこみのことを指します。打痕は外観に影響を与えるだけでなく、製品の機能にも悪影響を及ぼすことがあります。特に精密部品や外観が重要な製品では、打痕が発生すると、品質低下や不良品の発生につながり、コストの増加や納期の遅延を招く可能性があります。

プレス加工では、金型と材料の間に高い圧力がかかるため、加工中に異物やスクラップが挟まることによって打痕が発生しやすくなります。また、加工時の材料の送り装置の不具合や、金型の摩耗が打痕の原因となる場合もあります。これらの問題を未然に防ぐことが、高品質な製品を安定して生産するためには非常に重要です。

下記は実際に発生した打痕の例です。赤枠箇所が打痕です。

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打痕が発生する主な原因

打痕の原因は、加工工程の様々な要因に起因します。プレス加工において発生しやすい主な原因は以下の通りです。

 

1. 送り装置の不具合

材料を正確に送り込むための装置、特にローラーやグリッパーに不具合がある場合、材料の位置がずれて打痕が発生してします。送り装置のローラーや部品の摩耗、不適切な調整は、材料の正確な位置決めを阻害するため、打痕が発生しやすくなる大きな原因の一つです。

 

2. 材料や金型部品の汚れや異物の混入

材料や金型部品の表面に油、汚れ、異物が付着していたり、金型表面に腐食や酸化物が発生していると、プレス時にそれらが材料に押し付けられて打痕が発生します。また、異物が加工中に金型と材料の間に入り込むことで、製品表面に深刻な傷やへこみが残ることがあります。

 

 

3. パンチとダイのクリアランス不良

パンチとダイの間のクリアランスが不適切だったり、金型部品の摩耗が進んでいるままプレス加工すると、加工時に材料に対して過度の圧力がかかり、材料が引きちぎられるような形でカスが発生し、このカスが原因となって打痕が発生することがあります。曲げや面打ちなど、様々な工程で材料を擦る過程で、カスがどうしても発生してしまうことがあります。

 

4. 金型の位置決め部品と材料の干渉

金型の部品が材料と干渉して摩擦が生じる場合、その摩擦によってカスが発生し、これにより打痕が発生してしまう恐れがあります。

 

5. カス上がり

プレス加工中に発生するスクラップ(カス)が、金型内に残留し、次の加工サイクルで材料に挟まれることがあります。このスクラップが原因で、材料に打痕が残りやすくなります。

下記は明らかな異物混入による打痕です。

プレス加工における打痕の原因と対策とは?

 

 

打痕を防ぐための対策

プレス加工における打痕の発生を防ぐためには、適切な対策を講じることが重要です。ここでは、主な対策について詳しく説明します。

 

1. 送り装置の定期的なメンテナンス

送り装置が材料を正確に送らなければ、打痕の発生リスクが大幅に増加します。ローラーやグリッパーの摩耗は特に注意すべきポイントです。これらの部品の摩耗が進むと、材料がズレてしまい、打痕が発生しやすくなります。そのため、送り装置の定期的なメンテナンスを行い、部品の交換や調整を適切に行うことで、材料の位置ズレを防ぐことができ、打痕防止につなげることができます。

 

2. 材料や金型部品の清掃と汚れ・異物混入対策

フープ材については、油や汚れ、異物が混入しないように送り装置に対策を施すことが重要です。また金型部品についても、定期的な清掃を行い、作業前に異物がないことを確認することで打痕を防止することができます。

 

3. 適切なクリアランス設定と金型構造の調整

クリアランスが狭すぎるとカスが発生しやすく、打痕発生の要因となるため、パンチとダイのクリアランスを適切に設定することが重要です。また、パンチや材料が擦る形状を工夫したり、カス発生を抑制する構造とすることも大切です。

 

4. スケルトンを観察して干渉箇所へ対策

位置決め部品と材料の干渉対策については、スケルトン観察を行い、摩擦箇所を特定して対策を講じることが重要です。場合によっては、部品の誘い形状を大きく取ることも重要です。

 

5. カス上がり防止策の導入

カス上がり対策としては、試打ち時にダイ内のスクラップの状態を確認し、スクラップがダイ内から出てこないようにするのが基本です。その他にも、エアブローやキッカーピンを使用して、物理的にスクラップが上がらないようにする対策も効果的です。

 

 

打痕の発生原因の見極め方

打痕が発生した場合、その原因を迅速に特定し、適切な対策を講じることが重要です。打痕が発生する原因は複数あるため、どの要因が関係しているかを見極める必要があります。

 

いつ打痕が発生したのか

打痕が発生した段階によって、大きく打痕の原因も判明することが多いです。これは、付帯設備や汚れが原因による打痕は、順送プレス加工による生産ラインの立上段階の序盤や試作段階で原因を特定して排除しているケースが多いためです。4)金型の位置決め部品と材料の干渉も、立ち上げ時に見て解消していることがほとんどです。

そのため、金型が動く量産段階で特に多いのは、3)加工工程での不具合や、5)カス上がり による打痕となります。打ち抜き加工をすると、必ずごく少量のカスは出てしまいます。

 

周期的な打痕の確認

打痕が周期的に発生するかどうかを確認することで、原因特定につながります。周期的な打痕は、設備や金型の特定部位に異常があることを示唆しており、カス上がり等によるスクラップの付着や、部品の破損の可能性が考えられます。

下記はわかりやすい周期的な打痕です。

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プレス製品と金型の両方を確認

上記のような見極め方はありますが、打痕が発生した場合は、プレス製品と金型の両方を確認する必要があります。金型部品の破損や摩耗、スクラップの排出、送り装置など、異常発生箇所はおおよそ限られていますが、どちらも見た上で最終的には打痕の原因の特定をしなければいけません。

 

 

プレス加工における打痕の検査方法と、打痕の取り扱い方

打痕の発生を防ぐためには、製造工程の各段階で適切な検査を行い、製品の品質を確保することが重要です。また、細かく見過ぎると製品がなかなか生産できなくなってしまいます。そのため、検査の品質を高めつつ、どこまでを打痕として取り扱うかを決めるのが重要です。

 

AIやカメラの利用

打痕の検出には、AI技術や高感度カメラを使用する方法が有効です。高感度カメラを用いることで、一般的なカメラでは光学的に検出が難しい凹凸や傷を高精度で検知することが可能です。ただし微小な打痕は目視では見落とされることがあるため、カメラの感度を適切に設定することが重要です。また、感度設定が高すぎると過検知が発生してプレス加工が頻繁に停止してしまうため、打痕検出に適したバランスが求められます。

 

試作段階での検査

試作プレス時には、製品のスタートとエンドで確認することがほとんどです。フープ材で順送プレス加工をする場合は、リールに巻かれているため、引き出して全数検査を行うのは現実的ではありません。また個品の場合も、お客様との検査基準を設けることが重要です。

また、実際に順送プレス加工を始めないと、ものすごく小さい打痕が出る可能性もあるものの実際のところはわからないというのが正直なところです。そのため、試作段階で生じた打痕をもとに、お客様と打痕の許容範囲の確認を当社では行っております。

 

お客様との打ち合わせ

美観性が求められる製品や、機能に影響を与える部分に関しては、事前にお客様と打痕の許容範囲を確認しておくことが重要です。製品の使用目的や仕様に基づき、どの程度の打痕が許容されるかを明確にしておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

特に打痕の判断が分かれるのは、インサートされる成形部品です。金属部品が露出される箇所は気にされるケースが多いのですが、お客様によっては製品箇所だけでなくキャリアまで気にされるケースもあります。

このように打痕は、機能性でNGな箇所と、美観性でNGな箇所というのは、お客様によるところが大きくなります。そのため当社では、お客様との綿密なお打ち合わせによって、打痕のOKとNG箇所を明確にするようにすり合わせを行い、トラブルを未然に防ぎつつ、お客様にご満足いただけるプレス加工品の製品を行っております。

>>コンタクトのプレス加工における6つのポイント

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>>順送プレス加工における4つの反り対策方法とは?

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>>カス上がりの原因と対策とは?薄板プレス加工におけるカス上がりについて解説!

 

 

薄板プレス加工センターの薄板プレス加工の特徴

薄板プレス加工センターを運営する株式会社ナカトガワ技研では、これまでに様々な薄板プレス加工を行ってまいりました。業界としては、電子機器業界から自動車、産業機器向けに、国内外問わず様々な場所で当社製の薄板プレス加工品が使用されています。

板厚は0.05mmまでの薄いコンタクトの製造実績もございます。またピッチに関しても、0.35mmといったマイクロピッチコンタクトも多数製造実績がございます。形状に関しては、単純な抜き形状から、先端部分を曲げ加工したR接点形状や、芯金が入らないバネ構造、高精度曲げ加工によるBOX・シェル形状のような、様々な形状の薄板プレス加工品を製造してまいりました。

当社では、ロット1万~300万の薄板部品の試作プレス加工から、試作順送金型、量産順送金型まで一貫生産を行っております。特に試作順送プレス金型に関しては、多くのお客様から好評のお声をいただいております。

>>お客様の声を見る

 

こちらの動画では、薄板プレス加工センターの順送プレス加工をスケルトンをもとにご紹介しております。

 

当社の試作順送プレス金型の3つの特徴

当社が製造する試作順送プレス金型には、大きく3つの特徴でまとめられます。

 

 

量産精度

当社の試作順送プレス金型では、特に順送レイアウトにこだわった設計をしております。そのため、±0.01程の量産順送プレス金型と同等の精度で試作サンプル品の製品精度を出すことができます。

 

>>試作から量産まで、0.03~1mmの薄板プレス加工に対応いたします。

 

短納期/低コスト

薄板プレス加工センターでは、試作順送プレス金型において標準化システムを採用しております。こちらの標準ダイセットは、当社独自の特許も取得しており、他社では真似できない短納期と低コストで試作順送プレス金型を提供することができます。

標準ダイセットと当社独自の工程集約パーツ加工を組み合わせることで実現しています。

 

生産性

当社の試作順送プレス金型は、準量産対応をすることができます。具体的には、300万pinまでのつなぎ量産対応をすることができます。

 

>>量産プレス金型へのつなぎ対応・更新対応を解決する方法とは?

 

 

試作順送プレス金型の製造における2つのポイント

特に当社の試作順送プレス金型のポイントになっている、標準ダイセットと工程集約パーツに関して説明いたします。

 

標準ダイセットシステム

試作順送プレス金型の製造における2つのポイント 

上写真のように、当社の試作順送プレス金型では、共通ユニットとサブユニット(赤枠)を分割しております。お客様の製品の大きさやピッチ、材幅によってサブユニットの大きさを数種類の中より選択し、サブユニットのみを製作する構造をとっております。またタイプ種類については、レイアウト長毎に7種類を用意して、柔軟な対応ができるようにしております。

 

工程集約パーツ

例として、量産順送用のレイアウトで工程では7工程となっていた薄板プレス加工品を、工程集約をした抜きパンチを製造することにより、6工程を削減して1工程で済むようにした事例がございます。このように、製作する部品数が大幅に削減し、さらに通常は7回の抜き加工で製造していた製品を1回の抜き加工で加工できるようになるため、どこにも負けない短納期と低コストでの金型提供を実現しております。

 

>>工程集約パーツと分割パーツの違いとは?

>>【技術提案】工程集約パーツによるスリット抜き加工でコストダウン

>>順送プレス金型のスケルトンとは?

>>ロット1万~300万の薄板プレス部品の納品実績

 

 

薄板プレス加工センターの製品事例

続いて、薄板プレス加工センターによる製品事例をご紹介いたします。

 

試作プレスフィット端子

試作プレスフィット端子

こちらは自動車業界で使用されるC7025-TM03製のプレスフィット端子です。板厚は0.64mm、ピッチは2.2mmで、試作順送金型にて製造いたしました。

プレスフィット端子は、穴部分の抜き加工が最も難易度が高くなります。こちらのプレスフィット端子についても、板厚0.64mmに対して、幅0.3mmの薄肉へ行う抜き加工で、プレスフィット部の断面対角寸法公差は±0.03mm、さらにプレスフィット部のスリット抜きについては0.5t以下という、高難易度の薄板プレス加工品でした。

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C5240R-XSH製 FPCコネクタ端子 

C5240R-XSH製 FPCコネクタ端子

こちらは、電子部品として使用される、リン青銅(C5240R-XSH)製のFPCコネクタ端子です。板厚は0.08mm、ピッチは0.9mmで、試作順送金型にて製造いたしました。

FPCコネクタ用端子部品は、当社でも多数の取り扱い実績がございますが、今回は最小公差±0.007という高精度なプレス加工品でした。またお客様からは、とにかくコストを抑えてほしいとのことで、ご要望にあわせるために金型をコンパクトにして対応いたしました。

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C5210RHQ-XSH製 曲げR付き圧着端子

C5210RHQ-XSH製 曲げR付き圧着端子

こちらは、リン青銅(C5210RHQ-XSH)製の圧着端子です。板厚は0.15mm、ピッチは5mmで、量産順送金型にて製造いたしました。

このリン青銅は、非常に硬い材料として知られており、クラックが起きやすい点がお客様としても課題認識されていました。しかし当社では、曲げ工程に工夫を凝らすことで、クラックの発生を防ぐことに成功いたしました。

また曲げR部分は板厚の1/2である0.075mmとなり、非常に精度も求められる難易度の高いプレス加工品でした。

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車載向け2段丸め加工コネクタ用端子部品

車載向け2段丸め加工コネクタ用端子部品

こちらは、銅合金(MZC1R-H)製の車載用コネクタ部品です。板厚は0.35mm、ピッチは16.5mmで、量産順送金型にて製造いたしました。

写真の通り2段で行った丸め加工です。丸め公差は±0.025mmで、同軸精度は0.05mmという高精度プレス加工品です。

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3回折り返し曲げコネクタ用端子

3回折り返し曲げコネクタ用端子

こちらは、車載用部品として使用される、リン青銅(C5210R)製の3回折り返し曲げコネクタ用端子です。

3回の折り返し曲げ加工を順送プレス加工にて行っています。この寸法公差が±0.1mmとなり、さらに上面と底面の平行度が0.05、対称度も0.16という高精度なコネクタ用端子部品です。

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コルソン合金製 Box曲げ試作コネクタ端子

コルソン合金製 Box曲げ試作コネクタ端子

こちらの端子は、U曲げ部からバネ形状があり、その先にBOX形状が繋がっている複雑形状製品です。

薄板プレス加工センターは独自の試作順送プレス金型用の標準ベースを、多彩なバリエーションで取り揃えています。そのため、加工ステージ数が40程必要な製品であっても、他社よりも低コストでの製作が可能です。

 

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>>コネクタ用端子の製品事例 一覧はこちら

>>製品事例一覧を見る

 

 

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薄板プレス加工センターを運営する株式会社ナカトガワ技研は、宮城県石巻市で順送プレス金型の製造をつづけて35年、「知る人ぞ知る」東北最大手の試作順送金型メーカーです。

当社では、金型製造やプレス加工に必要な設備が全て整った設備体制により、金型の設計製造から検査、プレス加工まで一貫して行うことができます。

またナカトガワ技研の加工技術は、米粒ほどの大きさにも加工することができるのは当たり前。そのような高精度加工を安定的に行う当社の技術力こそが、高精度金型部品加工を実現するためのポイントです。

さらに当社では、累計3,000型の順送金型の製作実績があり、今までの試作品をスケルトンとして全てサンプル保存しております。この蓄積されたサンプルにより構築された当社のアイデア力で、お客様のご要望に応えて様々な金型形状を生み出します。

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ナカトガワ技研では、板厚0.03~1.0mmの薄板順送プレス加工を得意としております。 特に試作~中量産用の試作金型の設計・製造に強みがある当社は、試作・中量産のプレス加工にも対応しております。この領域のプレス加工では、当社は負けない自信があります。

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