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コンタクトピンとコネクタの違いとは?設計者が知るべきコンタクトピンの加工技術のポイント

車載用 MAX251製 コンタクト

電子機器の心臓部ともいえるコンタクトピンは、製品の信頼性を左右する重要な部品です。しかし、コネクタの一部であるコンタクトピンの役割や、その製造に求められる高度な技術について、十分に理解している設計者は少ないかもしれません。

本記事ではまず、コンタクトピンの基本的な定義や、コネクタとの違いを明確に解説します。さらに、電子機器の小型化・高密度化がもたらす品質要求の高まりや、薄板加工における固有の課題を掘り下げ、高品質なコンタクトピンを実現するための加工技術のポイントを解説いたします。

 

 

コンタクトピンとは?

コンタクトピンは、主にコネクタの構成部品として、電子機器の回路間で電気信号や電力を伝達するための重要な金属部品です。別名で「端子」「ピン」「ピン端子」「ピンコンタクト」「ターミナル」など、様々な名称で呼ばれることがあります。その役割は、単に電気を通すだけにとどまらず、安定した接続を維持し、外部環境からの影響を防ぐなど、多岐にわたります。

具体的には、コンタクトピンはコネクタのオス側(プラグ)とメス側(レセプタクル)の嵌合部分に配置され、物理的な接触によって電気回路を確立します。そのため、コンタクトピンには、繰り返し抜き差しされる状況下でも、初期の性能を長期にわたって維持できる高い信頼性が求められます。

コンタクトピンの品質は、最終製品の性能を直接的に左右します。例えば、接触不良は信号の途絶や電力供給の不安定化を引き起こし、製品全体の不具合につながります。したがって、コンタクトピンの選定においては、その形状、材質、表面仕上げ、そして加工精度に至るまで、極めて厳密な仕様管理が不可欠となります。

 

 

コンタクトピンとコンタクト、コネクタの違いとは?

コンタクトピンとコンタクト、コネクタは密接な関係にありますが、その役割には明確な違いがあります。両者の違いを理解することは、設計者として最適な部品を選定し、信頼性の高い製品を開発する上で不可欠です。

 

コンタクトとは?

コンタクトとは、電気的な接合をするコネクタの1種です。電子部品におけるコンタクトは、英語では”Contact”と書くように、接触する際に使用されるコネクタ部品です。またコネクタは、端子、ピン、ターミナル、コンタクトなどの種類に分類されます。

>>コネクタとは?特徴と種類について

 

コネクタとコンタクト、コンタクトピンの関係性

コネクタは、電気信号や電力を伝達するための接続機構全体のことを指します。これはオス側の「プラグ」とメス側の「レセプタクル」から構成され、この2つの部品を組み合わせることで回路を接続・分離する役割を果たします。コネクタは、頻繁な抜き差しに対応したり、外部環境から内部の接続部分を保護したりする「システム」としての機能が求められます。

一方、コンタクトピンは、コネクタの内部に組み込まれる個別の金属部品です。コネクタが嵌合した際に、実際に物理的に接触し、電気的な経路を確立する役割を担います。

またコンタクトは、コネクタの一種であり、コンタクトピンとの違いはピン形状であるかどうかです。ピン形状であればコンタクトピンと呼ばれることもありますが、お客様によってはピン形状であってもコンタクトと呼ばれるケースもあります。

このようにコネクタとコンタクトピンは意図的に言葉を使い分けられるケースが多い一方で、端子部品の名称は図面の記載方法や、会社ごとの言い方によって多岐にわたります。これがコンタクトピンという言葉が共通言語になりづらく、

 

 

コンタクトピンの種類と機能

コンタクトピンは、その用途に応じて多種多様な種類が存在し、それぞれ異なる機能や特性を持っています。設計者は、製品の要求仕様に合わせて最適なコンタクトピンを選定するために、これらの種類と機能を深く理解する必要があります。

 

主な材質と表面仕上げ

コンタクトピンの性能を決定づける最も重要な要素の一つが、使用される材質と表面仕上げです。

材質

黄銅(真鍮): コストが比較的安価で加工性に優れるため、広く使用されます。

リン青銅: バネ性に優れるため、コネクタの嵌合保持力を高める必要がある場合に適しています。

純銅: 導電率が非常に高いため、大電流が流れる電源供給端子などに使用されます。

 

表面仕上げ

金めっき: 優れた耐腐食性と低い接触抵抗が求められる場合に採用されます。

錫(スズ)めっき: 金めっきに比べて安価であり、耐腐食性やはんだ付け性が求められる場合に広く利用されます。

厚金めっき: 特に信頼性が重要視される車載部品などで使用されます。

 

形状と機能

コンタクトピンの形状は、その機能に直結します。

丸線端子: プレス加工以外に、丸棒から切削加工や切断加工もあり、高い真円度と精度が求められる場合に適しています。

角線端子: 主にプレス加工で製造され、平坦な接点が必要な場合に使用されます。

圧着端子: 電線やケーブルをかしめることで接続を確立する端子で、オープンバレル型とクローズドバレル型に分類されます。特にオープンバレル型は、ワイヤーハーネスの接続などで広く使われます。

>>圧着端子 試作プレス加工

 

これらの材質、表面仕上げ、形状の組み合わせによって、コンタクトピンは多様な要求に応えることが可能となります。

 

 

なぜコンタクトピンの品質が重要なのか?

電子機器の心臓部ともいえるコンタクトピンの品質は、最終製品の性能や信頼性を大きく左右します。特に、近年における製品の小型化・高密度化のトレンドは、コンタクトピンに求められる要件を一層厳しくしています。設計者として、なぜコンタクトピンの品質がこれほどまでに重要なのかを理解することは、トラブルを未然に防ぎ、製品の信頼性を確保する上で不可欠です。

 

高密度化・小型化による要求精度の高まり

スマートフォンやウェアラブルデバイス、さらには車載電子制御ユニット(ECU)など、多くの製品で部品の小型化と高密度実装が進んでいます。この結果、コンタクトピンも極めて微細な寸法と高い精度が求められるようになりました。わずかな寸法誤差や形状不良が、コネクタ全体の嵌合不良や接触抵抗の増大を引き起こす可能性があります。

 

接触不良や耐久性不足が引き起こす問題

コンタクトピンの品質不良は、様々なトラブルの直接的な原因となります。

接触不良: コンタクトピンの接触力が不十分であったり、表面に酸化膜や異物が付着したりすると、電気信号が途絶えたり、抵抗が増大して発熱を引き起こしたりします。これは、通信エラーや電源の不安定化、最悪の場合は製品の故障につながる可能性があります。

耐久性不足: 繰り返し抜き差しされるコネクタでは、コンタクトピンのバネ性や摩耗強度が重要です。材質選定や表面処理が不適切だと、短期間で性能が低下し、接続不良の原因となります。特に車載用途では、振動や温度変化といった厳しい環境下での長期的な信頼性が求められます。

 

薄板加工における固有の課題

コンタクトピンの多くは、薄板材料からプレス加工されますが、この工程には固有の課題が存在します。

反り: 薄板は応力の影響を受けやすく、プレス加工時に反りや歪みが発生しやすくなります。これが製品精度を大きく低下させる原因となります。

抜きバリ: プレス加工では、板厚の数パーセント程度のバリが必ず発生します。このバリが大きすぎると、相手部品との接触不良や安全性の問題を引き起こすことがあります。

カス上がり: プレス加工時に打ち抜かれた抜きカスがパンチに付着し、材料の下に入り込んでしまう現象です。これが製品に打痕をつけたり、金型を破損させたりする原因となります。

 

これらの課題は、設計段階での仕様検討だけでなく、製造工程における高度な技術とノウハウがなければ解決できません。

 

 

コンタクトのプレス加工における6つのポイント

コンタクトのプレス加工におけるポイントは、下記の6つで大きくまとめられます。

①抜きクリアランスを適正に保ち、抜き断面の形状を左右均一にする。
②コンタクト底面が船底形状にならないように抜き加工を行う。
③適切な工程で曲げ加工を行い、寸法のバラつきが起きにくくする。
④微調整を行える機構を持つ。
⑤コンタクトのフレ(なびき)を抑える。
⑥金型内外において安定した材料送りで加工を行う。

 

①抜きクリアランスを適正に保ち、抜き断面の形状を左右均一にする。

コンタクトのプレス加工においては、金型の抜きクリアランスを適正に保ち、抜き加工後の断面形状を左右均一にする事で、平坦を保つことが出来ます。平坦を保つことで、曲げパーツの当たりも均一になり、安定した曲げ加工を実現することができます。

 

②コンタクト底面が船底形状にならないように抜き加工を行う。

特に厳しい抜き形状の場合は、荷重の影響でコンタクト断面が4角形ではなく、5角形になってしまうことがあります。しかし断面が船底の様な5角形の形状になってしまうと、抜き寸法や曲げ寸法の不安定化を招きます。

当社ではそのような事態に陥らないように、順送金型レイアウトに工夫を凝らして設計をしております。

 

③適切な工程で曲げ加工を行い、寸法のバラつきが起きにくくする。

順送プレス加工において、製品を曲げる工程は設計者毎に千差万別です。そのため、金型設計によっては曲げ加工において寸法のバラつきが発生してしまう恐れもあります。

薄板プレス加工センターでは、数多くの実績を基に適切な曲げ工程のご提案をさせていただきます。

 

④微調整を行える機構を持つ。

近年は、部品の高精度化、軽量化、省スペース化という流れに伴い、製品公差が非常に厳しくなっています。そのため、製品精度の微妙な変動で、すぐにスペックアウトになってしまうケースが多くなっています。

当社では、微妙な変動が生じた際にも順送プレス金型を下ろさずに、金型を設置したまま微調整の対応が出来るように、金型に調整機構を設けております。

 

⑤コンタクトのフレ(なびき)を抑える。

コンタクトが長い場合や、何度も折り返す曲げがある場合には、コンタクトのフレ(なびき)の発生率が高くなってしまいます。

薄板プレス加工センターでは、フレを抑制もしくは矯正するような構造の順送プレス金型を製作をしております。

 

⑥金型内外において安定した材料送りで加工を行う。

材料の送りが安定していないと、ミスフィードや製品寸法の不安定化を招いてしまいます。

当社では、入口から出口まで安定した送りを実現する金型仕上げを行っています。

 

当社ではこのように、高精度な薄板プレス加工を行うためのノウハウを社内にて蓄積し、お客様に還元しております。抜きバリやマッチング、クリアランスなど、細かなノウハウも多くなりますが、その積み重ねこそが技術の結晶となり、どこにも負けない高精度な薄板コンタクト製品となるのです。

>>抜きバリを抑えるための4つのポイント

 

 

 

薄板プレス加工センターのコンタクト製造の特徴

薄板プレス加工センターを運営する株式会社ナカトガワ技研では、これまでに様々なコンタクトの製造を行ってまいりました。業界としては、電子機器業界から自動車、産業機器向けに、国内外問わず様々な場所で当社製のコンタクトが使用されています。

板厚は0.05mmまでの薄いコンタクトの製造実績もございます。またピッチに関しても、0.35mmといったマイクロピッチコンタクトも多数製造実績がございます。

形状に関しては、単純な抜き形状から、コンタクトの先端部分を曲げ加工したR接点形状や、芯金が入らないバネ構造、高精度曲げ加工によるBOX形状のような、様々な形状のコンタクトを製造してまいりました。

当社では、ロット1万~300万の薄板コンタクトの試作プレス加工から、試作順送金型、量産順送金型まで一貫生産を行っております。特に試作順送プレス金型に関しては、多くのお客様から好評のお声をいただいております。

>>お客様の声を見る

 

 

薄板プレス加工センターのコンタクトの製品事例

続いて、薄板プレス加工センターによるコンタクトの製品事例をご紹介いたします。

R接点形状付き スイッチコンタクト

R接点形状付き スイッチコンタクト

 

こちらは、電子機器業界で使用されるリン青銅(C5210R-SH)製のスイッチコンタクトです。板厚は0.15mm、ピッチは18mmで、量産順送金型にて製造いたしました。

拡大写真だとおわかりいただけますが、こちらのスイッチコンタクトでは先端が滑らかなR接点形状となっています。順送プレス加工をする中で曲げ加工を行い、先端形状を加工しておりますが、この端子のばらつき管理をするのが非常に困難でした。

 

>>製品事例はこちら

 

 

車載用部品向け NKC286製コンタクト

車載用部品向け NKC286製コンタクト

 

こちらは、車載用部品として使用される、コルソン合金(NKC286)製のコンタクトです。板厚は0.2mm、ピッチは2.0mmで、試作順送金型にて製造いたしました。

 

>>製品事例はこちら

 

 

 

 

2回折り返し曲げコンタクト

2回折り返し曲げコンタクト

 

こちらは、リン青銅(C5191R-H)製の2回折り返し曲げコンタクトです。板厚は0.15mm、ピッチは2mmで、試作順送金型にて製造いたしました。

こちらのコンタクトは、写真のように2回の折り返し曲げ加工を行っています。曲げ加工の最小公差は±0.02となっていますが、折り返し曲げにより寸法精度の累積が製品精度に影響してしまうため、難易度の高いプレス加工品と言えます。

 

>>製品事例はこちら

 

 

C7035R-XE製 コンタクト

C7035R-XE製 コンタクト

こちらは、コルソン系銅合金(C7035R-XE)製のコンタクトです。板厚は0.07mm、ピッチは0.7mmで、試作順送金型にて製造いたしました。

このコンタクトは、フープ材からの試作順送プレス加工にて製造しており、0.35mmという非常に狭ピッチである点が大きな特徴です。今回は試作のため、ロットは20万個でしたが、当社の試作金型では最大で400万pinまで製造可能です。

 

>>製品事例はこちら

 

 

 

車載用部品向けコルソン合金製コンタクト

車載用部品向けコルソン合金製コンタクト

 

こちらは、車載用部品として使用される、コルソン合金製のコンタクトです。板厚は0.1mm、ピッチは2.0mmで、量産順送プレス金型にて製造いたしました。

こちらのコンタクトは、4個取りにて製造を行っており、製品内に板厚の1/2に当たる0.05mmのスリットが入っています。さらに抜き曲げの最小公差が±0.01mmという、非常に高精度なコンタクト部品でした。

 

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薄板プレス加工センターを運営する株式会社ナカトガワ技研は、宮城県石巻市で順送プレス金型の製造をつづけて35年、「知る人ぞ知る」東北最大手の試作順送金型メーカーです。

当社では、金型製造やプレス加工に必要な設備が全て整った設備体制により、金型の設計製造から検査、プレス加工まで一貫して行うことができます。

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